弘兼憲史 「黄昏流星群」は中高年向けのファンタジー漫画

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twilight-1 漫画

人間は死ぬまで恋愛していくんでしょうか。

島耕作シリーズでおなじみ、弘兼憲史さんの 「黄昏流星群」という中高年向け短編マンガを読むと、いつもそう思います。

人生の黄昏時である中高年世代も、ただ老いていくのでなく、恋愛や人生に輝きながら生き抜きたい、というのがこのマンガのテーマとなっています。

中高年の主人公にとって都合いい展開なところもありますが、理想と現実のギャップを味わうという楽しみもあります。

登場人物と同じ世代である現在51歳の私が、マンガの中の主人公に自分を重ねながら、リアルさを感じています。

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1995年から連載開始

今でも非常に人気があり、単行本は57巻まで刊行されています。

いずれも主役は40代以降の中年・熟年・老年で、恋愛を主軸に人生観などを描いた短編マンガ集となっています。

なお、タイトル「黄昏流星群」というのは、老いゆく過程で光り輝くという意味からつけられているそうです。
といえば聞こえはいいのですが、熟年世代にとって理想的な、不倫恋愛のストーリーが多いですね。

その中でもドラマ化や映画化もされたことのある、第一巻「不惑の星」について、あらすじをご紹介します。

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第1巻「不惑の星」のあらすじ

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主人公は52歳で大手都市銀行の支店長

いままでは会社一筋の人生で、さらなる上の役職を目指していたが、ある日、肩たたきに合う。

行き先は系列会社への天下りであり、もちろん役員待遇だが、当時の大蔵省の役人と結婚しようというひとり娘の結婚に悪影響があるため、妻子からは大反対を受ける。

その後、一人、傷心旅行としてスイスに向かった先で、妙齢の女性と意気投合し恋に落ちたが、名前も連絡先も知らずに気まずく別れてしまう。

しかし、お互いその存在を忘れられないまま半年がすぎたころ、偶然出会い、一気に愛を深めあうことに。

彼自身は、天下りを断ったせいで、昇進は見込めず、閑職につくことになったが、43歳の独身の彼女との恋愛を謳歌し、プライベートは充実した日々を送る。

そんな不倫を楽しむ毎日だったが、ある日、ホテルで娘とばったり遭遇。結婚直前の娘のはずが自分と年の変わらない男とエレベーターで抱き合っていた

これにはショックを受け、娘を呼び出し問い詰めたが、不倫をしている父親のことは何も聞かない、お互いのペナルティは追及しない、見て見ぬ振りをすれば全てうまくいく、と割り切った考えで、そのまま結婚しようとしている。

同じ不倫であることを棚に上げて、自分は誠実なのに、と娘の考え方に戸惑う主人公。

それでも結婚の準備は進み、主賓の挨拶を娘の大学の恩師である教授に頼むと、まさにそれが娘の不倫相手で更に愕然とする。

そんな時、彼女がまさかの妊娠
堕ろしてほしいと伝えたが、43歳でシングルマザーになることを決意した彼女の意思は固い。

しかし彼女は流産してしまう。
その後、彼女は、イタリア料理店を開くという以前からの夢を実現するため邁進することに。

娘の結婚式は無事に敢行される。
新郎側の主賓挨拶は、大蔵省主税局長で当時の住専問題などをネタに。
新婦側の主賓挨拶は、娘の不倫相手である例の教授。自分が手を付けた教え子の結婚式で、能天気に祝福の挨拶を述べていて、最悪な気分になる主人公

そんな結婚式の直後に、妻から離婚を言い渡される。
自分の不倫はすべてバレていたのだ。

会社では、自分の肩を叩いた天下り上司が、贈収賄で一気に失墜という追い風が吹き、取締役への可能性も見えてきて、身辺をきれいにしておけと言われていたのだが、果たしてどうなるのか。

最後は、自分の信念に基づき行動する主人公であった。

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不倫なのに純粋で誠実?

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自分に誠実に生きるなら、妻と別れて今抱き合っている女と一緒に暮らすべきだろう。
彼女がそう望んでいるなら、なおさらだ。
しかし、今のところ彼女にはそういう気持ちもなさそうだ。
もし彼女が望んだら、私は応ずることができるだろうか?
今まで築き上げてきたものをこの年になって捨て去るエネルギーが残っているだろうか?

運命的な出会いをし、純粋に愛し合っているのだ、といってもそれはあくまで不倫。
安穏とした生活すべてを捨て去ることなどできないのは当たり前なのです。

それまで何十年も築き上げてきた一流企業サラリーマンとしてのポジションや誇りもあるし、親戚や近所の人たちの目、という世間体もあるし。

いくら、いま心が通い合っていないとしても、今までずっと一緒に過ごしてきた妻子と別れるという決断は、普通はできないはずです。

一時の快楽に溺れ、周りが見えなくなっている状態ならともかく、フィクションの主人公だけでなく、自分も同じことを考えるでしょう。

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世界が違いすぎる

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最初からあなたとの結婚は望んでなかったけど。。。
老後のお友達としてつきあうには、あなたと私は世界が違いすぎる。
あなたは今まで築きあげたものが大きすぎるのよ。
何も捨てられないでしょ。

足元の悪い坂道で転んで、流産してしまった彼女は、残された人生をイタリアンレストラン開業という夢に向かって生きることを決意します。
そんな彼女にとって、サラリーマンにしがみついている主人公は、重荷なのです。
お互いに別れたほうが、ラクになるはず、という考えから、このようなキツイ言葉を投げかけます。

別れることは本意ではないけれど、この決断しかないんでしょうね

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このままサラリーマンとして終わらせるのか、それとも

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俺の人生って何だったんだろう。。。
会社に行って、働いて、給料をもらって、家族を養って、ローンを払って。。。
30年間、その繰り返しだった。
そして今、サラリーマン人生の総括として、銀行の取締役というワンステップ上のステージに駆け上がろうとしている。
そんな肩書がほしいために生きてきたのか。

娘を送り出したと思った矢先に、妻から三くだり半を突きつけられた主人公。
いろんなしがらみを捨てて好きな人生を生きようか、それともサラリーマン人生を全うしようか、葛藤のシーンです。

サラリーマンとして、ワンステップ上のステージに行けるのなら、それもありですよね。
サラリーマン人生っていうのはそういうものであり、そこに幸せを感じる人も多いはずです。

必ずしも定年までずっと同じ会社ではないこともあるだろうけれど、家族を養うためには、精一杯仕事をし、給料をもらう
もちろん、人によっては独立して自営業だったり、経営者だったりするかもしれませんが、自分や家族が生きるために働くということに、サラリーマンも自営業も経営者も変わりはないはずです。

しかし、この物語では、サラリーマンを全うするのではなく、「そんな人生よりも愛する女性とともに暮らし、どちらかの死を看取ることができたらそんな幸せなことはないだろう」と、全てを捨てて愛する彼女のもとへ。

この黄昏流星群第一巻「不惑の星」を読み終えたときに、このラストは、ちょっと安易な気がしました。
果たして、長年連れ添った妻や娘を簡単に捨てられるものでしょうか。
フィクションであるがゆえ、安易なハッピーエンドの展開に持っていったのかな、と少し残念な思いも。

とはいえ、現実でも、同じようなことが自分にも周りにも起こっていて、身につまされる思いで読了しました。

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スイスでの出会いは実話

このストーリーの前半で、主人公が一人スイスへ旅行し、日本人の女性に出会うところから恋が始まるわけですが、なんとこの出来事は実話なんだそう

弘兼憲史先生が取材でスイスのツェルマットに行ったときに、荒天のなかほとんど客もいないところに、日本人女性が一人で来ていたそうで、そのときの話を膨らませて、前半部の出会いのシーンになったんだとか。

ただし現実の出来事はここまでで、そのあとの一緒の食事や恋に進展するところは、すべてフィクションとのことです。

このエピソードは、「弘兼流 50歳からの定年準備」という書籍に記されております。

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2018年10月からドラマ放映も

ちょうど、来月になりますが、2018年10月から、フジテレビでドラマ化もされ放映されるとのことです。

黄昏流星群 - フジテレビ
黄昏流星群 - オフィシャルサイト。2018年10月11日スタート 毎週木曜よる10時放送 出演:佐々木蔵之介、中山美穂、黒木瞳、藤井流星

佐々木蔵之介が主人公で、その妻が中山美穂
また、主人公がスイスで恋に落ちる相手を黒木瞳が演じるとのことです。

原作の漫画では、妻はほとんど登場せず、あまりいい印象はなかったのですが、中山美穂の不倫もあるとのことで、これは楽しみですね。

自分に重ねながら見ようと思います。