会社では契約関係の部署で仕事をしていることもあり、ハンコを取り扱うことがよくあります。
外資系企業とはいえ、日本でビジネスを展開していく以上、日本の商習慣を無視するわけには行かず、契約書には印鑑を押すことになります。
公的文書や企業の契約書には、シャチハタは通常NGとされているんですが、お客さんによっては、何も気にすることなく、契約書にシャチハタを押してくる方もいるんです。
そこで印鑑とシャチハタについて調べたことをまとめてみました。
シャチハタとは?
実は、シャチハタとは、愛知県名古屋市に本社のある「シヤチハタ株式会社」という会社の名称です。
この「シヤチハタ株式会社」がインキ浸透印を開発し、市場に広く普及させることに成功し、インキ浸透印の最大手に成長したんです。
この事から、「シヤチハタ」がインキ浸透印の代名詞となりました。
正式な商品名は、「Xスタンパー」といいます。
また、「シャチハタ」ではなく「シヤチハタ」(ヤが小文字ではない)が正式な名前です。
(キヤノンと同じですね)
まあ、インク浸透印の通称として、「シャチハタ」という名称が広く知れ渡っているので、みんなそのまま使っていますし、ここでも「シャチハタ」として説明します。
ちなみになぜシャチハタというのかは、シヤチハタ株式会社のHPに説明があります。
シヤチハタは名古屋城の金のシャチホコに由来しております。
創業は1925年(大正14年)、舟橋商会として名古屋でスタンプ台の製造販売を開始致しました。
当初、旗の中央に名古屋のシンボルであるシャチホコを描いたマークを社章にして、製品に表示していたことから、後にシャチ+旗でシヤチハタとなりました。
シャチハタの特徴は?
シャチハタの文字はゴムで出来ていて、朱肉を使わない代わりにはんこの内部に詰めたインクが少しずつにじみ出る仕組みになっています。
また、大量生産品であり、一般的な名字であれば、文具店などで既成品として販売されていて、入手しやすく安価である、というのが大きな特徴といえます。
それに朱肉を必要としないため、持ち運びなどは便利ですね。
通常の印鑑との違いは?
シャチハタは、ゴムという柔らかい素材を使用しているため、劣化しやすいだけでなく、ゴムが傷付いて印影が変化する恐れもあります。
また押すときの力の入れ加減によって、柔らかいゴムがそのたびに形を変えることで、同じ印影にならないことも考えられます。
それに、内部のインクが不足してくると、徐々に印影が薄くなってはんこを判読しにくくなることも。
また、工場で製造する大量生産の工業品であるため、同じシャチハタであれば、全く同じ形状の文字が押印されることとなり、本来ハンコの持つ唯一性が保証できません。
これらの理由から、シャチハタのようなタイプのはんこ(インク浸透印)は、公文書などへの使用は認められていません。
役所での印鑑登録にも使えないのも同じ理由です。
確かに、シャチハタのように、押す人や力の入れ加減で印影が変形するとトラブルのもとですよね。
そのため、通常の印鑑は、変形する心配のない、木や象牙で作られているんです。
通常の印鑑と比べてシャチハタは、
- 劣化や押す力の入れ具合によって印影が同じにならない可能性がある
- インクが不足してくると印影が薄くなって判読しにくくなる
- 大量生産品のため、唯一性が保証できない
会社で使う印鑑は
会社同士の契約書には、通常、代表者(もしくはそれに準ずる方)の記名押印をすることになります。
そのときに使う印鑑が、シャチハタだと、やはり公的な効力を持つ印鑑ではないため、受け入れられないことが多いです。
私の会社でも、お客様がシャチハタと思われる印鑑を押してきたときには、シャチハタではないですか?というのを確認しています。
なお、印影だけで、これがシャチハタだ!とは断言できませんが、インク/朱肉の違いで、紙ににじむ(紙の中に染み込む)のがシャチハタ(インク)、紙ににじまない紙の上にのる)のが通常の朱肉による印鑑であり、よく見れば違いがわかるはずです。
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